副社長の初めての相手は誰?

「希歩、有難う」

 感動に目を潤ませた優輝が言った。


 産まれたての赤ちゃんは、とても小さくて儚く見える。

 こんなに小さな赤ちゃんが、大きくなるのだと優輝は感動で胸がいっぱいだった。



「お母さん、私。幸太のオムツとか変えるの手伝うからね」

「有難う絢」

「俺も…手伝う…」

 
 ちょっと照れて忍が言った。


「有難う忍。お兄ちゃんになったから、弟に色々教えてあげてね」

「うん…」


 相変わらずの照屋さんの忍。




 産まれてきた幸太を囲んで、とても幸せそうな絢と忍。



「希歩、僕は暫く育児休暇をとることにしたよ」

「え? 大丈夫なの? 」

「うん、僕が休暇中は父さんが頑張ってくれるって」

「そう…」


「絢と忍の時は、何もできなかったから。幸太には、できるだけの事をしてあげたいと思うから」

「有難う…」


 優輝はそっと希歩の手を握った。


「希歩。本当に感謝しているよ。何もかも、僕の初めての相手は希歩だから…」

「私も感謝しています。…優輝さんしか、しらないから…」

「お互い初めての相手だったんだね。安心したよ」


 
 笑い合う優輝と希歩。






 すれ違った10年があった。

 でも不思議な双子の子供、絢と忍がずっと優輝と希歩を繋いでくれていた。


 お互いの愛がずっと子供を通して繋がっていて。

 10年の月日が経過して再び巡り会えた。



 そして今、新しい命も誕生した。



 初めての相手は永遠の人。

 この幸せがずっと続く事を祈っている…。




 副社長の初めての相手は誰?


 END

 
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