Blessing〜煌めいた十五日〜
その人は、私が職員さんに呼ばれて話が中断された時に、いつも「また連れて行く〜!」と言ってくれていた人でした。

「実は、今日で最後なんです」

お別れの時間となり、私が涙を堪えて言うと、利用者さんはニコニコと笑いました。

「そうか。じゃあ、またどこかで会えたら喫茶店でお話ししましょう」

そう言い、利用者さんは首にかけてあるタオルを目に当てました。顔を上げた時、その利用者さんの目は赤くなっていました。私はハッとし、泣きそうになりながら微笑みました。

「ありがとうございました」

階段を降り、更衣室へと向かいます。そして更衣室へと入った刹那、私の目から涙がこぼれていきました。

失敗もありましたが、多くの利用者さんと出会えたことが嬉しく、もう会えないことに悲しみを感じていました。

緊張で始まったこの実習は、最後は幸せと涙で終わったのです。
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