揺蕩いの桜の下で君想ふ
揺蕩いの桜の下で君想ふ



数か月が経ち、もうすぐで新学期がやって来る。

私は、結桜のお母さんに連れられて結桜のいる病院へとやって来た。

「結桜!!」

結桜の病室に入ると、結桜は私に微笑む。結桜は、生まれた時から持病があったらしい。それは、15歳まで生きれたら良いと言われるほどのもの。私は、それを春休みに入ってから知った。

「ねぇ、結桜……なんで?」

「……何が?」

結桜は、辛そうに、そして嬉しそうに微笑んで言う。

「何で、私に病気のことを隠してたの?」

「……俺、転校する前の学校で、病気があるからって仲間外れにされてた……それが嫌で、隠してた……誰かに言って、嫌われるのが、仲間外れにされるのが、怖かったから……だから、俺は、極力話さないように、悟れないようにしてた……」

「だけど、小春と話していくうちに、小春に話してもいいかなって思った……だけど、離れていくんじゃないかって……思うと、怖くて……でも、小春に話しといて良かった……俺、今生きてるなんて不思議だ……15歳で死ぬって言われてたのに、17歳まで生きてるから……」

「……」

私は、結桜の言葉に何も言えない。結桜は、私の知らないところで苦労してたんだ……。

「……俺、生きたい。生きて……幸せになりたい……」
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