その表情を手に入れたい
電車から降り、隼人と喧嘩をしながら
通学する。
「だいったいなあお前が寝坊するからあんな
だっさい姿俺に見られんだよ」
ご機嫌なのか、すごく上から目線で言ってくる。
「高校デビューわくわくするーみたいな
きらきらな感情は隼人にはないわけ?そんなん
だから、恋人ができないんですよぉお」
タッタッタッタッタ........パコッ!!!
教科書を丸めたようなもので
誰かが隼人の頭を叩いた。
「いってぇっ!」
手で頭を抑えて笑いながらこぼすように発した。
「はいはい、幼稚園児みたいな喧嘩しないの
恋人が出来ないのは凛も一緒でしょ?」
さすがの登場の仕方だなと思った。
華奈も今日ご機嫌だなあ
会えたことが嬉しくて自然とテンションが上がる
「華奈!!おはよー!!」
「おはよー!!」
手を振りながら笑顔で挨拶を返してくれる
「おい、華奈、俺朝っぱらから誰かさんの教科書のせいで、頭にたんこぶできてるんだけど?」
隼人が小学生のような口ぶりでいう
「なんて?隼人?」
手を耳に当てて、
聞こえていないフリをする華奈
『アハッハハッ』
中学生の頃と変わらない隼人と華奈に
思わず笑ってしまう。でも、制服が高校生を
想像させる。やっぱりみんな緊張しているのか
クラスはどんなんなのかとか、先生はどんなんなのかとかそういう話題しか出てこない。
3人で門をくぐる。
始まった、私の高校生活。