夜空に君という名のスピカを探して。
「でも、どこへ……?」


 分からない。なのに、どうしても行かなければいけない場所がある気がした。

ううん、場所じゃなくて人だ。

 私、誰かに会いに行かなきゃいけないんじゃなかった?

 なのに、その人のことを思い出せない。

心にぽっかりと空いた穴を木枯らしが吹き抜けるみたいに切なくて、ぽろっと涙がこぼれた。


「楓、どうしたの?」

 お母さんは急に泣き出した私を、慌てて抱きしめる。

でも理由を知りたいのは、私のほうだった。

悲しいという感情が、堰を切って涙となってあふれ出す。

「わ、分かんない……っ」


 分からないけど、切ない。会いたい、会いたい、会いたいっ。

 そんな思いばかりが底なしにこみ上げてきて、私はひたすらに泣き続けた。

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