夜空に君という名のスピカを探して。
「私たちはこんな感じで変わらないけどさ、楓はすごく変わったよね」
花火を吹き消すと、彩がテーブルに頬杖をつきながらそう言う。
その隣で由美子は、着々とケーキを取り分けていた。
「私が変わったって、どんなふうに?」
そう言われても自分では分からない。
私は由美子が取り分けてくれたケーキを食べながら、首を捻る。
彩はカフェラテに口をつけてから「たとえばー」と、考えるように視線を上げる。
「なにに対しても、強気になった」
「え、強気……? そうかなぁ」
私は結構、物怖じするタイプだ。
小説をコンペに出すのも、正直怖くてしかたなかった。
これで落ちたら才能がないのではないか、一生続けていけるのだろうか。
そんな不安ばかりが胸に渦巻いて、身動きがとれないことも多々ある。
でも、そのたびに私は自分を叱咤した。
どこからそんな強さがわいてくるのかは分からないけれど、立ち止まってはいけない。
私と同じように夢に向かっている人がいるのだからと、誰かに追いつきたいという思いが私を突き動かしていた。
「高校生のとき、進路希望調査票を配られたでしょ? あのときの楓は自信なさげで、本当に大丈夫かなって心配だったんだけど、すぐに変わったよね」
彩の言う進路希望調査票をもらったときの私は口ばっかりで、物書きになりたいと文字にするのさえ勇気が必要だった。
自分で自分の夢を信じられないから、誰かに出来ると言ってほしい、励ましてほしい。
安心させてほしくて、親友や両親に相談していた。
「でも事故にあったあとからじゃない? 楓は夢に貪欲になった」
紙ナプキンで口元を拭いながら、そう言った由美子に「え、貪欲?」と私は困惑する。
それは褒められているのか、貶されているのか、どっちだろう。
「もちろんいい意味よ。悩む前に行動するというか、積極的になったと思う」
私の心を読んだエスパー由美子が補足してくる。高校生のときから頭がキレて勘も鋭かったけれど、改めて恐るべし観察眼だと思う。
花火を吹き消すと、彩がテーブルに頬杖をつきながらそう言う。
その隣で由美子は、着々とケーキを取り分けていた。
「私が変わったって、どんなふうに?」
そう言われても自分では分からない。
私は由美子が取り分けてくれたケーキを食べながら、首を捻る。
彩はカフェラテに口をつけてから「たとえばー」と、考えるように視線を上げる。
「なにに対しても、強気になった」
「え、強気……? そうかなぁ」
私は結構、物怖じするタイプだ。
小説をコンペに出すのも、正直怖くてしかたなかった。
これで落ちたら才能がないのではないか、一生続けていけるのだろうか。
そんな不安ばかりが胸に渦巻いて、身動きがとれないことも多々ある。
でも、そのたびに私は自分を叱咤した。
どこからそんな強さがわいてくるのかは分からないけれど、立ち止まってはいけない。
私と同じように夢に向かっている人がいるのだからと、誰かに追いつきたいという思いが私を突き動かしていた。
「高校生のとき、進路希望調査票を配られたでしょ? あのときの楓は自信なさげで、本当に大丈夫かなって心配だったんだけど、すぐに変わったよね」
彩の言う進路希望調査票をもらったときの私は口ばっかりで、物書きになりたいと文字にするのさえ勇気が必要だった。
自分で自分の夢を信じられないから、誰かに出来ると言ってほしい、励ましてほしい。
安心させてほしくて、親友や両親に相談していた。
「でも事故にあったあとからじゃない? 楓は夢に貪欲になった」
紙ナプキンで口元を拭いながら、そう言った由美子に「え、貪欲?」と私は困惑する。
それは褒められているのか、貶されているのか、どっちだろう。
「もちろんいい意味よ。悩む前に行動するというか、積極的になったと思う」
私の心を読んだエスパー由美子が補足してくる。高校生のときから頭がキレて勘も鋭かったけれど、改めて恐るべし観察眼だと思う。