夜空に君という名のスピカを探して。
『ちゃんと……話しを聞いてやらなくて悪かった』
頭の中に声が響いた。そして、その声を認識した瞬間からバッと視界が白く染まる。
えっ……?
そこに広がったのは白い天井に白い壁。
身体はピクリとも動かないけれど、私は白いシーツが敷かれたベッドの上に横たわっている。
『楓……うぅっ、楓……』
私を呼ぶこの声は、今日見た夢と同じものだった。
どこから、誰が、私を呼ぶのだろうと耳をすませていると「楓」とまた別の声に呼ばれる。
白かったはずの世界は茜色に変わり、夢から覚めたような心持ちで自分がいる場所が図書室であることを再認識した。
『あれ、私……どうしたんだっけ』
おかしいな、さっきより空が暗い。
まさか、白夜夢でも見ていたのだろうか。
段々と状況が理解できてくると、宙くんが「楓、楓!」と立ち上がって私を必死に呼んでいることに気づく。
そんな彼を「どうしたの!?」と、前田さんが驚いたように見上げていた。
『宙くん、そんなに何度も呼ばなくても聞こえてるよ』
「──っ、今までなにやってたんだ!」
あまり感情をあらわにしない宙くんが、珍しく荒れている。
それに圧倒されながらも、自分に起きたことを話すことにした。
『私また、寝てたみたいなんだよね』
「寝てたって……」
思いつめるように俯いて、それから宙くんはゆっくりと視線を前田さんへ向けた。
「悪い、勉強はここで終わりにしてもいいか?」
「えっ、どうして……」
「勉強よりも大事なことがあるんだ。どうしても、今やりたいことがある」
彼は突然、なにを言っているのだろう。
せっかく前田さんと一緒にいられる口実ができたのに、その貴重な機会を棒に振るほどの用事なのだろうか。
「う、うん……。じゃあ、また明日ね」
なんとも言えない表情で、前田さんは宙くんを見送る。
その顔があまりにも悲しそうだったので、見かねた私は図書室を出ようとする彼を引き留めることにした。
頭の中に声が響いた。そして、その声を認識した瞬間からバッと視界が白く染まる。
えっ……?
そこに広がったのは白い天井に白い壁。
身体はピクリとも動かないけれど、私は白いシーツが敷かれたベッドの上に横たわっている。
『楓……うぅっ、楓……』
私を呼ぶこの声は、今日見た夢と同じものだった。
どこから、誰が、私を呼ぶのだろうと耳をすませていると「楓」とまた別の声に呼ばれる。
白かったはずの世界は茜色に変わり、夢から覚めたような心持ちで自分がいる場所が図書室であることを再認識した。
『あれ、私……どうしたんだっけ』
おかしいな、さっきより空が暗い。
まさか、白夜夢でも見ていたのだろうか。
段々と状況が理解できてくると、宙くんが「楓、楓!」と立ち上がって私を必死に呼んでいることに気づく。
そんな彼を「どうしたの!?」と、前田さんが驚いたように見上げていた。
『宙くん、そんなに何度も呼ばなくても聞こえてるよ』
「──っ、今までなにやってたんだ!」
あまり感情をあらわにしない宙くんが、珍しく荒れている。
それに圧倒されながらも、自分に起きたことを話すことにした。
『私また、寝てたみたいなんだよね』
「寝てたって……」
思いつめるように俯いて、それから宙くんはゆっくりと視線を前田さんへ向けた。
「悪い、勉強はここで終わりにしてもいいか?」
「えっ、どうして……」
「勉強よりも大事なことがあるんだ。どうしても、今やりたいことがある」
彼は突然、なにを言っているのだろう。
せっかく前田さんと一緒にいられる口実ができたのに、その貴重な機会を棒に振るほどの用事なのだろうか。
「う、うん……。じゃあ、また明日ね」
なんとも言えない表情で、前田さんは宙くんを見送る。
その顔があまりにも悲しそうだったので、見かねた私は図書室を出ようとする彼を引き留めることにした。