私が母を捨てるまで

おばあちゃんとの生活


2度目の結婚生活も長くは続かず、母は私を連れて実家へ帰りました。
母は「妹も連れてきたけど義父に連れていかれてしまった」と言っていましたが、嘘か本当かはわかりません。

ここからしばらく記憶が曖昧なのですが、母は私を祖母に預けて長距離トラックドライバーとして働き始め、月に1度か2度しか帰って来なくなりました。

母に会えないのはものすごく寂しかったです。
でも、友達がたくさんいる保育園は楽しかったし、何より優しい祖母が大切に育ててくれていたので何も不満はありませんでした。

とはいえ、まだ幼い私は夜になると寂しくて泣き喚いてしまう事が多々ありました。
困り果てた祖母は、母に電話をかけました。

「もしもし?ミタコがお母さんに会いたいって泣き喚いて大変なんだよ・・・。少し電話かわってやってくれるかい?」

そう言って祖母は私に受話器を渡してくれました。

お母さんと話せる!!
嬉しくて寂しくて、感情のままに私は話しました。

「もしもし、おかあさん!!さみしい!かえってきてほしい!!」

遠くにいる母がすぐ帰って来れないのはわかっていました。
だから、優しく慰めてくれるのを期待していました。

「ギャーギャー泣くんじゃないよ!!!!あたしだって忙しいんだから余計な事で電話してこないで!!ワガママ言わないで!!忙しいから切るよ!!」

返ってきたのは、怒りにまみれた母の怒鳴り声でした。
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