半径1kmの恋物語
「あの…」
「え?あ、はい…!」
いけないいけない。
年下の美男子を愛でたい気持ちが溢れていたのかもしれない。
察知されると気持ち悪がられる…。
エレベーターホールに亜耶と王子が二人きり。
すると王子が亜耶から取り上げたダンボール箱を床に置いた。
「その…。マーケティング部の市川亜耶さんですよね?」
「は、はぁ…。」
「俺、営業部の堀田司っていいます。」
知ってます。
何せあなたは有名人ですから。
しかし顔も整ってるし背も高いし。
きっと営業先でも評判が良くて成績も優秀なんだろうな。
初めて至近距離で見る王子に亜耶はまたしても吸い込まれるように見つめてしまった。
「あの…市川さん俺の話聞いてます?」
「はい…?」
「だから…。俺はずっと前からあなたの事が気になっていて…。」
「はい…?」
気になってるって…。
このキラキラ王子が平民の私を…?
亜耶の胸が一瞬ドキリと音を立てたものの、すぐに我に返った。
「…何かの罰ゲームとかですか?」
「そんなんじゃないです!俺は本気であなたの事が…!」
何なの、この少女漫画のような展開…。
あまりにも現実味が無さすぎて、思わず冷静に対応してしまった。