半径1kmの恋物語


確かに明人の言うことに亜耶も納得がいく。

浮気の度合い関係なく、浮気をしたという事実だけでアウトなんじゃないか。

しかし麻衣の中では違うようだ。

「私は2人でご飯とか出かけるのはセーフ。キスしたらアウトだね。」

「…いや、ご飯とか出かけるのも相手に話せるならいいですよ。でも内緒にしてたり後ろめたい気持ちで行っちゃったらダメでしょう。」

「でもさぁ…惚れた弱みというか…。私は許しちゃうかもしれない。」

「えー、しっかりしてくださいよ。そこ許しちゃうとつけ上がるんですって。」

「ねぇ、亜耶はどう思う?」

「うーん…。私も明人くんと同じかなぁ。」

「ほらね。麻衣さんは甘いんじゃないんですか?」


きっと麻衣はそれくらい好きな人がいた(若しくは“ いる”)経験があるから、そんなことが言えるのだ。

亜耶は彼女のことがほんの少しだけ羨ましいなとも思う。

何故なら身を焦がすような恋愛経験が無いから。


麻衣はコミュニケーション能力が高い上にスタイルも良く、誰が見ても美人と呼ばれる存在。

比べて亜耶は特にこれといった特徴もなく、いわゆる『普通』『平凡』『平均的』と呼ばれるポジションだ。

悪く言えば『地味』とでも言えるだろう。

< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop