【短編】STARTー恋ver.ー
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寒くてたまらなかった冬。
そんな季節から、春に移り変わろうとしている。
もうすぐ桜の木の下でお花見ができる頃だな、と思う今日この頃。
俺は1人で桜の木を見ていた。
まだ3月だけど、今年は例年よりも暖かくて。
蕾で溢れていた枝に、淡いピンク色の花びらがつきはじめていた。
高坂 純(コウサカ ジュン)
一応まだ中学3年生
ついこないだ中学校を卒業した。
9年間の義務教育を終了し、4月から高校生。
今は春休みというわけだ。
久しぶりに、なにもする予定がなかったので、外に出てみた。
そして、昔から変わらない桜の木が目にとまったのだった。
小学生の頃から、いつもこの桜の木を見ながら登下校してたっけ。
ゆっくり見たのは、本当に久しぶりだった。