【短編】STARTー恋ver.ー
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それから、いつの間にか日は過ぎて。
桜の木の花びらも満開。
風に吹かれて花びらが舞い落ちる。
春休みが終わりを告げようとしていた。
俺は結局、彼女に再び会う事はなかった。
当たり前だよな、そう簡単に会えるわけない。
あの道も、偶然通っただけかもしれないじゃないか。
それなのに俺、ずっと待って。
なにやってんだろ。
名前も
年齢も
住んでる場所も
なに一つ知らない。
知らないことばっかりじゃないか。
だから、彼女を本当に好きなのかって聞かれれば、自信持って頷く事はできない。
出会ったのは一度きり。
本当に恋なのか。
もう、自分が何をしたいのかさえわからなくなる。