失われた民族 最後の娘
 _キキタ・ヌマ・バローさんですね。
  初めまして、アントループマガジンインタビュアーのナタリアバランド
  と申します。
 

 _ええ、よろしく。


 _早速なのですが、キキタ・ヌマ・バローさん、


 _キキタでいいわ


 _キキタ、あなたはコーカサス地方にあったとされる村のご出身と聞いて
  おります。そちらの文化を伺いたく今回の機会を設けさせていただきました。


 _ええ、私はその村に生まれてから結婚して二年目の夏までそこに暮らしたの
  なつかしい、私の故郷よ


 _キキタはどんな少女だったのですか?

 _とにかくおてんばだったわ。母からいつも”小鳥のように歩け(しとやかに
  静かに振る舞う様子の意)”と言われていたの。
  刺繍が苦手で、外でベリー類を摘んだり、走ったりしているのが好きだったわ
  八人兄弟の五番目で、気が楽だったんでしょうね。好きなことばかり 
  させてもらえた、幸せな子供時代だったわ。
  ずっと結婚するなら村の外の男性と決めていたわ。

 _なぜ、今のご主人と?

 _大戦の終わったすぐあと、村に地理の研究者として主人が来て、ちょうど姉が
  三人相次いで結婚してでていったばかりで
  部屋も空いていたので、うちに寝泊まりしたの。
  主人は、私の知らない世界をたくさん知ってたわ。町のこと、ミニスカート
  のこと、チョコレートのこと。
  主人にも、私の生活を教えたわ。あの鳥がおなかだけ白いのは、
  フウセンカの花から生まれたからなのよ、とかね。
  (彼女の村の民話 その鳥の種類、フウセンカの花が何を指すのかはわからず)
 
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