失われた民族 最後の娘
_独自の言語や習慣に関しては、ご主人であるシモン バロー博士が
 いくつかの書籍にしてまとめておられますよね。

_ことばや言い伝えに関しては彼のほうが詳しいんじゃないかしら。
 私にも残す努力をしろと、最近は刺繍を学生や市民活動で教えているわ。
 
_そうですね、アルベジー村は独特の刺繍がありますよね。
 必ず、布のどこかにカラフルな太陽のいる

_刺繍の技法なんてそんなにかわらないわ。
 私も、フランス風の刺繍でアルベジーの刺繍をやることもあるもの。
 アルベジーの刺繍は、モチーフを並べたものではないの。
 これこそが、歴史なのよ。忘れておきたくないことを刺繍するの。
 だから、ずっと一緒に見ている太陽を刺繍しておくのよ。
 私が忘れても太陽が覚えていてくれるでしょ。

_民話を刺繍することは?

_あるわ。
 今、肩にかけているものがそうよ。

キキタさんが肩掛けを広げている写真が雑誌にはあり。
HPでも閲覧可能
赤地の厚手のショールのふちに沿って二人の男女が物語を進めていく。
写真のコメントによると、洪水から生き残った二人の老後の姿。
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