おっさんキューピット
新幹線で1時間半、そこからローカル線で45分、バスを乗り継ぎ、以前電話で話していた彼女の新しい家に向かった。4年前に別れてから2つ目の転勤先のようだった。
黒に染め直した彼の髪はどこか誇らしげに整えられていたし、ピアスがなくなった耳は東北の冬に合うように赤くなっていた。
教えられていた彼女の家の前に着くと彼は2度深呼吸をした。
あの別れの日から4年。以前にも彼女に会う前は深呼吸をしていた気がする。
それと何か忘れているような……。
意を決してインターフォンを鳴らした。
反応がないので自分の名前を伝えようと思ったが、玄関の方から騒々しい物音が聞こえてきて扉が開いた。
「もしかして、前に娘の引越しに来てくれた子?大きくなったわね~」
「あっはい、そうですけど……。なんで知ってるんですか?」
「あんなに泣いてた子のこと忘れないわよ。娘もずっと泣いてて大変だったんだから。
それに、たまに電話もしてたでしょ?どんなこと話したとか娘が毎回伝えてくるんだもん」
少年は凍るような寒さとは関係ない赤面を覚えた。
「さっ、寒いから中に入って。娘ももうそろそろ帰ってくるはずだから」
リビングに通されると、あったかいお茶を出してくれた。凍えている手にそれは本当にありがたかった。
黒に染め直した彼の髪はどこか誇らしげに整えられていたし、ピアスがなくなった耳は東北の冬に合うように赤くなっていた。
教えられていた彼女の家の前に着くと彼は2度深呼吸をした。
あの別れの日から4年。以前にも彼女に会う前は深呼吸をしていた気がする。
それと何か忘れているような……。
意を決してインターフォンを鳴らした。
反応がないので自分の名前を伝えようと思ったが、玄関の方から騒々しい物音が聞こえてきて扉が開いた。
「もしかして、前に娘の引越しに来てくれた子?大きくなったわね~」
「あっはい、そうですけど……。なんで知ってるんですか?」
「あんなに泣いてた子のこと忘れないわよ。娘もずっと泣いてて大変だったんだから。
それに、たまに電話もしてたでしょ?どんなこと話したとか娘が毎回伝えてくるんだもん」
少年は凍るような寒さとは関係ない赤面を覚えた。
「さっ、寒いから中に入って。娘ももうそろそろ帰ってくるはずだから」
リビングに通されると、あったかいお茶を出してくれた。凍えている手にそれは本当にありがたかった。