おっさんキューピット
それから30分ほど他愛もない話をした。
少女は化学部の実験大好きっ子になっていること
少年は有名中学校に通っていること
最近電話がなくて寂しがっていたことなど、彼女に関してのことなら話題はいくらでもあった。
そうこうしているうちに玄関から物音が聞こえた。
母親は娘を迎えに玄関に行くと

「おかえり~お客さん来てるわよ」

「私に?誰~」
少女がリビングの扉を開けると椅子に座っている少年と目があった。
4年ぶりの再会、今回は2人とも泣き腫らした目ではない。

「えっ、なんで君がここにいんの……?」

「会いたくなっちゃって」
恋愛経験などない少年のストレートな言動に帰ってきたばかりの少女の頬はより赤くなったように見える。

「聞いてたらおばさん恥ずかしくて死んじゃうかもしれないから部屋に行って」

半ば強引に彼女の部屋に押し込められると、2人は顔を見合わせ笑った。

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