おっさんキューピット
あの日自分が父を止められていたら……。そんなことを考えたところで仕方ないことはわかっている。そんな突拍子も無いことを考えた自分を笑った。
しかし、どこか引っかかる。

「タイム……マシンだ……」

過去に行くことができるタイムマシンならあの日の父を止められるのでは無いか?
そして、父が現在でも生きているという世界を作り出せるのでは無いか?
そう考えた瞬間。男が言っていたことを思い出した。

「それは本当にお前が“やりたいこと”なのか?」

ずっと封印してきた記憶の中に“やりたいこと”はあった。
“父がやり遂げられず死んだタイムマシンを開発して、父を助けること”
これが彼にしかできないことであり、やりたいことになった。

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