おっさんキューピット
「本当の理由はね…。タイムマシンを作ってお父さんを助けたいんだ…」
「お父さんがおかしくなっていったのを一番近くで見ていたのは僕だ。異変に気付いていたらお父さんは生きていたかもしれない。後悔してもしきれない。幼かったからっていうのは関係ない」
「だけど、タイムマシンがあればお父さんを助けられる。お母さんだって助けられる人がいるなら助けるでしょ?僕もお母さんとは違う道で、タイムマシンを作ることで人を助けたいんだ!」
しばらく沈黙が続いた。

「10年……。今から10年で完成させなさい。危ないことも絶対ダメだからね。
それで無理ならそれから医者を目指しなさい。これが私が認められる最大の譲歩」
「……ありがとう。それだけあるなら十分だよ。絶対に作ってみせる」
自分の主張など全くしてこなかった息子が、やりたいことを見つけてやろうとしている。
母は悲しみではない、別の涙を流した。

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