おっさんキューピット
「説得できたか?」

青年の登校時間に待ち構えていた男が聞いてきた。

「はい、完全に、ではないですけど……。10年だけ許してもらえました。10年で無理なら医者になれと…」

「10年か……。それは厳しいな」

「厳しくても、やってみせますよ。本当にやりたいことができたんですから」

「まぁせいぜい頑張れよ。医者もいいもんだからさ」

男はそう言い残し、どこかへ消えた。
青年はまたどこかで会うことになるだろうと感じていた。

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