おっさんキューピット
その後、休み時間のたびに彼はクラスメイトに取り囲まれ、涙の理由も聞き出せないままその日は終わった。

「どうだった?うまくいったか?」

うつむきながら歩いていた男の子に結果がわかっていながら話しかける。

「実験は喜んでくれたよ。だけど、終わったらまた泣き出しちゃったんだ」

「そうか。なんで泣いてるのかは聞けた?」

「ううん、聞いたけどみんなの前では言いたくないって。一人で聞きに行こうと思ったらみんなが代わる代わるやってきて、どうやったのか教えてだって。こんなに話しかけられたの初めてだから困っちゃったよ」

男は待ってましたと言わんばかりの顔になり

「じゃあ、みんながいないところならいいんだな、ほれっ」

男の子は男からもらった2枚のチケットを見ると歓声をあげた。

「科学博物館のチケットだ!ずっと行きたかったんだ。僕にくれるの?」

「あんまりいって欲しくはないんだが、今回は特別だ。あの子と二人で行ってこい」

「ありがとう、おじさん」

「次は月曜日にくるからな。それまでに誘って楽しんでこい。感想聞かせろよな」

男の子は頷くとチケットをポケットに大事にしまうと駆け足で家に帰った。

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