胃酸
12歳の夏の日だったでしょうか。
その日は朝も早くから雨が降っておりました。
水色とは程遠い色の水が空からこれみよがしに降っているのを朝4時頃家の中から眺めていました。
普段よりも色濃い山山が生き生きしているのに羨望の念を抱いていたところ、
にわかには信じがたいことなのですが、
その山山から直々にここに来ないかというお誘いを受けました。
彼らに憧れている私に行かない理由などありません。
私は昨晩の父親によって痛む左脚を引きずりながら土砂降りの雨の中彼らのすそまで向かいました。
< 3 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop