愛すべき彼女達 ~十人十色~

梓の場合…………その1

「ねぇ、消しゴム貸して!」

前の席の大男………横山 柊斗の背中を

シャーペンでツンツンして話しかける。

「チッ」

舌打ちしながら。

でも………五月蝿そうに振り向いてくれた。

「お前ねぇ~」

『イライラしてます!』とハッキリ表情に張りつけて睨まれた。

ヘヘッ、怒らせちゃった。

でも………

どんなに怒っても、ムシしないんだよね。

実は私………

消しゴムを持ってたりするの。

いざって時の為にね!(テストだと借りれないもん。)

筆箱の底に入ってる。

どうして隠してるかというと………

そりゃあもちろん、関わりたいから。

他にも、シャーペンの芯やものさしなんかも借りちゃう。

だって…………

隣だったら教科書を借りて、一緒に見ることも出来るんだけど……

前後ろだと無理だもんね。

それに

彼はとっても大きくて、無愛想。

前で大きな壁ができちゃうんだ。

今だって本音は………

『隣の奴に借りれよ。』って思ってるはず。

周りの友達には

『よくアイツに話しかけるよぅ!
私はムリムリ。』

『怖くないの?』

『私が貸そうか?
話しかけない方が良いよ?』って、毎回言われてるの。

でも………

好きになっちゃったんだよね。

迷惑だろうし

五月蝿いって思われてても…………止めれない程。
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