愛すべき彼女達 ~十人十色~
それからは、後ろに目が出来た!!

振り向くことなんて出来ないのに

筆箱を開けるのも

ノートを開くのも………全て分かってしまう。

ツンツン。

…………………………………。

ツンツン。

………………………………………。

ツンツンツンツン……………「オイ。」

やっぱり、後ろからつつかれてるよね?

…………………………。

振り向くと

「これ、お前のだろう?」と手渡された自転車の鍵。

「うん。
………………………ありがとう。」

たったそれだけの会話なのに…………………緊張したぁ!

首まで熱くなって、手で押さえてたら

再びツンツンと背中をつつかれた。

「何?」

今度は、素直に振り向くことが出来た。

じっと見つめて

私の腕を引いて立たせ

「先生、熱があるみたいなんで
保健室に連れて行きます。」と。

えっ?

熱??

『やっぱり付き合ってるの?』

『やぁ~ん。仲が良い!』

『ヒュー、ヒュー。』

冷やかしとあらぬ噂に、益々赤くなる私に

「あぁ、顔が赤いですね。
横山君、お願いします。」と先生まで納得して、連れ出される。

噂するクラスメイトを、ひと睨みして

ズンズン引いてドアの外に出た。

「あっ、あの。
私……………大丈夫だから…………。」

ドキドキしてまだ赤みの治まらない顔で伝えても

信じてもらえないらしくて。

「ふぅ~っ。」とため息を吐いて

手をしっかり握り直し、保健室に連れて行かれた。

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