愛すべき彼女達 ~十人十色~
「こっち。」

前を歩く彼に引かれ、ベットに促される。

腰かけると

「上がって。」と言われ

渋々ベットに入ると………椅子を引いて座り始めた。

ええっ!!

クラスに帰らないの??

もう、何処を見たらいいのかも分からず

布団の端を握って、モジモジしてたら。

「………………あの時みたいだな。」と言って、クスリと笑った。

貴重な笑い声。

言われた意味が………あの日で合ってるのか悩んでいたら

「忘れてるかぁ。」と。

「………………病院のこと………??」

確認するように話しかけると

「なんだ、覚えてたんだ。
何も言わないから、忘れてんのかと思った。」

……………………びっくりしたぁ。

私って…………覚えてくれてたんだ。

「あの………………部活のこと…………ごめんなさい。
後………病院では………ありがとう。
お陰で、お父さんを笑顔で送れたんだ。
……………柊斗君に出逢わなかったら………
今頃………後悔していたと思う。
同じ学校になって………直ぐにお礼を言いたかったんだけど。
中々話しかけられずにいて……………」

ブッ。

急に吹き出した彼にびっくりしてたら。

「だろうな。
毎日、ストーカーしてたし。」って。

ストーカーじゃないのにぃ~

でも、びっくりするほど…………笑ってる。

5年分の笑顔に戸惑う。
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