愛すべき彼女達 ~十人十色~

咲の場合…………その1

「マスター、ただいま。
今日は、お砂糖二つちょうだい。」

私、加山咲は………幼稚園のストレスを癒すため

毎日のように、暗くて地味ぃ~なここ…………路地裏の喫茶店に通ってます。

「何、生意気なことを言ってる?
ブラック濃いめで淹れるぞ。」

ちょっとだけおじさんマスターに、睨まれちゃった!

「数少ないお客なんだよぅ!
大切にしてよ~」

私の反抗にも

「客っていうのは、カネを落とす奴を言うんだよ。」って。

まぁ、そうなんだけどね。

実は、幼稚園に嫌がらせがあって

先生達も危ないからって……男の先生達が自宅まで送ってくれてるの。

この時期、お遊戯会の準備で遅くなるから。

だけど私は、一人住まいだから帰っても一人。

家につけてくることもあるって……このマスターに意地悪言われて

震え上がっていたら………「心配だ」って言って

ここのマスターこと、圭哉兄が住まわせてくれてるの。

出逢って数ヶ月だけど

この人は大丈夫って、本能が言ってたんだよね。

何でかな?




「それで?
今日は、何があったんだ??」

文句を言ってからかいながらでも

必ず親身に聞いてくれる。

あの日と変わらない優しさで………。
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