愛すべき彼女達 ~十人十色~

梓の場合………その4

「ねぇ、梓って………
横山君と付き合ってるの?」

最近よく聞かれるこの質問。

少し前の私だったら…………

『昔のお礼を言いたくて、追っかけてたのに………

彼に申し訳ないって』………思ってた。

だけど席替えがあって、私の体調を心配して保健室に行った時から

その思いが変わったの。

だって…………あの時のこと。

覚えてくれてたんだもん!

それから………

私は彼が好きだって…………気づいたから。

昔と変わらず、ソッと優しくしてくれる彼。

「付き合ってはないよ。
幼馴染みなの。
それに、私達家族を救ってくれた人。
彼氏じゃなくて…………私の片思いなの。」って答える。

無愛想で『怖い』って恐れられてる彼を、好きだと言うと

『ええっ?!』って驚かれ。

その後『スゴい!!』と…………ナゼか感心されてしまう。

私の『片思い』発言は、衝撃的だったらしくて…………

その日の内に学校中に広まった。

あれから3ヶ月。

彼の前だった席は、新たな席替えで終わりを告げたはずなのに………。

担任を始め、クラス全員が私の恋を面白がり??

応援してくれた結果。

とってもイカサマなくじのお陰で………

今度は、私が後ろの席になれたの!

相変わらず不機嫌な彼は。

私の『片思い』発言とそれに伴う好奇の目。

周りのソワソワに

私の好き好きアプローチと落ち着かないらしくて

いっそうイライラしてるの。

ラグビー部員には申し訳ないけど………

それって、ちょっと意識してくれたって事だよね??って

密かに喜んでるの!
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