愛すべき彼女達 ~十人十色~
「みぃ、静かにね。」

久しぶりの空間。

学校なんて…………何年ぶりだろう。

毎日、こんなところで過ごしてるんだぁ。

2限目は児童心理学らしいから………

「カフェで待ってるね。」と言う私に

さっき車で言った言葉と同じ『ほら、行こう』と囁いて。

手を引いて歩いて行く。

「ちょっと………コウ!
ねぇ、何処に行くの??」

慌てる私に、ニッコリ笑って。

「一緒に学校に行こうって言ったでしょう。」と

教室に連れて行かれた。

えっ!!

教室??

だって、今から授業だよね??

ええっ!!

「みぃ、静かにね。」

「………………………はい。」





コウの隣に座って

ドキドキしながら、顔を伏せているの。

バレてないよね??

教授がこちらを見るたび、怖くて悩みなんて吹き飛んだ。

「そんなにビクビクしなくても、大丈夫だよ。」

余裕綽々にクスクス笑っているコウが…………悔しい。

長い90分が終わって、ほっとしていたら

二人の周りに人が寄ってきた。

「コウ、誰?」

「君、ここの学生じゃないよね?」

「何処の学生?」

口々に話しかけられ戸惑っていたら、横から手が伸びてきて

「俺の奥さん。」って言いながら引き寄せられた。

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