愛すべき彼女達 ~十人十色~

梓の場合………その5

「梓。
明日の朝は早いから………別々な。」

柊斗と出逢って6年。

なんと私は…………柊斗の彼女です!

半年前のあの日。

約束の6時を、受験の面接の時よりドキドキしながら待っていたら………

土埃と傷だらけの姿で、教室にやって来た。

「悪い。
シャワーしてくるから、後30分待ってて。」

そう言って、再び飴を渡して出ていった。

どれだけ飴を持ってるの??

彼のカバンの中が気になりながら、呆気に取られていると

彼と入れ替わりに美月が教室を覗いた。

「ラグビー、終わったよ。」

出禁になって直ぐ

お兄ちゃんを追っかけられるのは、学生の時しかないからと………

直談判して、マネージャーになった美月。

いつものように、部活終わりに待ち合わせていた教室にやって来た。

「あっ…………う………ん。
えっと………うんと………………
今日………一緒に帰れなくなった…………………。
………………ごめん。」

歯切れ悪く断る私に、キョトンとして

「だって、待っててくれたんでしょう??」と

意味が分からないと呟く。

なんと答えたら良いものかと悩んでいたら。

「マネジャー、ごめん。
今日からコイツ…………俺と帰る。
コーチにマネジャーの事頼んどいたから送ってもらって。
危ないから………
ちゃんと送ってもらえよ。」と

私にも、美月にも衝撃的な言葉を淡々と吐いて

「待たせた。」と言うと………

私の鞄も一緒に持って歩き始めた。
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