愛すべき彼女達 ~十人十色~
告白から1週間。

ラブラブなはずの二人は………

保健室のイスに向かい合っている。

「かな………。」

再び低い声を出して見つめる春人さんに観念して

「だって……………。」と唇を尖らせたら

「ヤキモチ妬き。」と言って、鼻を摘ままれた。

そう。

ホントにヤキモチ妬きなの。

だって、やっと近づけたんだよ。

それなのに………

保健室は、女の子で満員。

良い顔するから………ドンドンやって来るんだよね。

「春人さんが、優しくするからだもん。
1週間に、私と二人でいられたのは………告白した時だけだよ。」

子供っぽい言い方だけど………

ついつい拗ねてしまう。

「かなの言いたいことも分かるけど……
仕事だけは、どうしようもないから許してね。」

春人さんの言う事は、分かってる。

学生の私と違って、春人さんは保健室の先生だから。

それでもやっと気持ちが通じあったのに………。

「かなは、どうしたら安心する?
かなだけの先生が良いなら、いつでも学校は辞めるよ。」

ウソつき。

そんなこと出来っこないじゃない。

産休が明けるのは、後半年後なんでしょ。

心の声が届いたのか

「分かった。
アンケート調査終了。
だったら、二人の関係を公表しよう!
今夜、かなのお家にお邪魔するからそれまで我慢して。」と

…………………今度は、何をするつもり?

自由人の春人さんは、ムチャをするからちょっと心配。

ビクビクしながら授業を受ける私は

久しぶりに頭に全く入らなかった。
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