愛すべき彼女達 ~十人十色~

寧々の場合

「彰人君、ただいま。」

「オゥ。」

校門を右に曲がり、コインパーキングを目指すと

いつもと変わらない姿の彼が

車の脇に立って缶コーヒーを飲んでいる。

「またぁ!
そんなの飲んでたら、パパに怒られるよ。」

高校生にもなって、パパと呼ぶのは可笑しいと

友達にからかわれるけど………

パパは、彰人君のお兄ちゃんで私とは血の繋がりはないの。

因みに、お母さんも洋兄も大パパも咲ネェや彩お姉ちゃん。

唯ちゃんに悠人君。

夏苗ちゃんに海晴ネェネに………コウ兄や春人さんも…………。

みんな血の繋がりなんてないけど

私の大切な家族。





私は………

3歳の時に、パン屋を営む洋兄とお母さんの元に

『里子』として預けられた。

私を産んだ母親は、女手一つで私を育て

かなり苦労していたと聞いている。

2年生までは、今のお母さんと母親の所………

後は、施設を行ったり来たりしていたんだけど。

母親の再婚を期に、今のお母さん達の子供になった。
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