愛すべき彼女達 ~十人十色~
あの日私は、ピンクのワンピースにくまのピン止め。

同じくピンクのカバンを持たされて

洋兄のお友達のお兄さんに預けられた。

玄関を出て見えた世界は………おとぎ話の『シンデレラ』。

キラキラひかる朝日に照されて………王子さまが出現したの。

「寧々ちゃん、こんにちは。」

口を開いておしゃべりするのが不思議で

呆然と眺めていたのを覚えてる。

チャイルドシートに座って、大パパの会社に連れて行かれ

受付のお姉さんに紹介すると

アタフタして、お部屋を用意してくれた。

連れて行かれた部屋は…………

カーペットが敷いてあり。

オモチャやお絵かき道具、テレビにおやつと

私の大好きな物がいっぱいだった。

王子さまが、お願いすると色々な物が出現して…………

ホントに魔法のようだった。

子供心に、受付のお姉さんはお手伝いさんで

王子さまのお世話をする人なんだって思っていたの。

そんな王子さまは、パソコンを操る合間に

「寧々ちゃん、淋しくない?」

「もう少し待っててね。」と優しく話しかけてくれて

気分はすっかりお姫様だった。

まぁ、お姫様扱いはホンの数日で

少しなれると『寧々ちゃん』から『寧々』になり。

「あき君」と甘えれば

「今はお仕事だから、もうちょっと待ってろ。」と

3歳児相手に、俺様だったけどね。

それでも、顔はやっぱり王子さまで…………

横柄な態度まで、堂々としてカッコイイって思っていたんだ。
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