愛すべき彼女達 ~十人十色~
「………あぁ、ちょっと…………ごめん。
咲?
さぁ~きちゃん。
………………………ごめんね。
ごめん。
ホントに………………泣き止んで…………。」

カウンター越しに手を伸ばして、ヨシヨシしてくれる。

たぶん圭哉兄は、怒られて泣いたと思ってるんだろうな。

違うんだけどね。

私のことを、心配してくれる人がいたことに驚いたの。

『ここに居ていいよ』とは、言ってもらったけど………

それって、間借りと一緒だよね?

けど………怒ってくれるのって…………

心配して、大切だって………思ってくれたからだよね。

彼氏とも

家族とも違うけど………

自分の居場所が出来たような気がした。

…………………このまま此処に居たい。

圭哉兄の側が良いなぁ。

幼稚園が大変な今だけだって………分かっているけど………

そんなことを願ってしまう。

せめて…………もう少し、解決しないことを………。

いけないことなのに………。

泣き止んだ私の手を引いて

「帰るぞ。」って。

今はまだ………帰るって言ってもらえるね。

…………………嬉しい。



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