愛すべき彼女達 ~十人十色~
当日は、いっぱい楽しんで思い出を作った。

彰人君は、変わらず子供としか見てくれないけど………

私は、彼女のつもりで過ごしたの。

最後の観覧車。

告白して思いを伝えようと思っていた。

それなのに……………

『寧々と俺が結婚することはない。』と

分かってる。

覚悟だってしてるよ。

でもせめて…………………………好きだと…………告白させてよ。

ちゃんと諦めるから…………………。

悔しくて、悲しくて……………涙が溢れる。

彰人君のもとを飛び出して、闇雲に走ったの。

泣いて泣いて…………枯れるほど泣いたとき

『寧々、おいで』と抱きしめてくれたのは…………洋兄だった。

「彰人の事は任せて。
悪いようにしないから。」

優しく受け止めてくれる洋兄に甘えていたら

「よく頑張ったね。」

「彰人は懲らしめるから、安心しろ。」

「泣いたら目が溶けちゃうよ。」

「寝て起きたら、王子さまに抱きしめてもらえるから
安心して眠りなさい。」って

家族みんなが、優しい言葉と一緒に現れた。




温かい愛情に包まれて眠る私の頭は………………

あの夏の日と同じ、大きな手に撫でられている。

「寧々…………ごめんな。」

声と一緒に

子供の頃から変わらない…………おでこのキスが降ってきた。

…………………………やっぱり私の王子さまは、手の届かない人なんだね。
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