星と星を結んで君を描く
その日の夜。俺と一夜は綺麗に星が見える丘に来ていた。空を見上げれば、無数の星が煌めいている。
「……お、あったあった!一夜、あれが春の大三角だよ」
俺は星に指さして言った。一夜は、理科が苦手。特に天文学を苦手としている。なので、一夜はたまにこうして俺と天体観測をする。
「春の大三角は、アークトゥルス、スピカ、デネボラで構成されているんだ」
「スピカ?どっかで聞いたことある……」
「黄道十二星座(太陽の通り道に沿って並んでいる星座のこと)の1つ、おとめ座の一等星だよ」
「ちなみに、アークトゥルスはうしかい座の一等星。デネボラは、しし座の二等星だよ」
俺は、そう説明して微笑んだ。一夜は「ほー……」と声を漏らしながら夜空を見上げ続ける。
「……理解出来てる?」
俺は、一夜の顔を覗き込む。一夜は「うん」とうなずきながら、あくびをした。
「……眠いの?」
そう聞くと、一夜はうなずく。もうそんな時間なんだろうか。
「そっか……気を付けて帰ってね。俺は、まだ見たいから」
一夜は「分かった」とうなずいて闇の中に消えていく。俺は、この夜空を見上げ続けた。