溺愛ホリック
スカウトされることはもちろん初めてで。



来年ここを離れる暁は即断って。



モデル事務所の社長と名乗るこの人の期待は、全部芹にふりかかった·····。



「絶対売れるわよ」

「詐欺みたいなこと言うね」

「私は確信のあるときしかスカウトしないの」

「じゃあその言葉通りならなかったら?」

「それなりの見返りはするわ」

「ま、いいよ。暁いなくなるし、暇つぶしと思ってやってみる」

「その上からなとこも気に入ったわ」



美人なくせに変な性格の女社長になぜか気に入られたあたしはモデルになれるらしい。



今連絡のとれる家族はいるかと聞かれ。



とりあえず家に電話をかけてみた。



『·····はい、一条ですけど』

「あ、お兄?ママとパパいる?」

『今買い物行った。なに?ケホッ』

「お兄風邪?」

『·····そうだよ。可哀想すぎない?僕』



うん、とっても不憫。

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