溺愛ホリック
僕からも謝ると、素敵なお母さんだねって褒めてくれるウミちゃんがいい子すぎて抱きしめそうになった。



熱も下がったし、家まで送り届けることになった僕。



自転車を引きながら、寒い夜道を並んで歩いた。



「今日はありがと〜。母さんの相手までさせてごめんね?」

「ううん。楽しくて優しいお母さんで羨ましいです」

「ウミちゃんのお母さんは違うの?」

「うーん、わかりません」

「えっ?」

「うち、片親なんです。父だけ。母は私を産んですぐ病気で亡くなりました」



辛い過去を普通に話すウミちゃんを見て、僕はなんて軽率なことを聞いたんだと悔やんだ。



すぐに謝ると、大丈夫って笑うウミちゃん。



「母に会いたいとも思いません。温もりを感じたことがないので。でも千賀くんのお母さんを見て、お母さんってこんなに温かいものなんだって知ることができました」

「ウミちゃん·····」

「また、お家に行ってもいいですか?」

「もちろん。いつでも」

「実は、千賀くんのお母さんとLINEも交換しまし
たっ!」



嬉しそうに笑顔を向けるウミちゃん。



僕より行動が早いね、母さんは·····。

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