溺愛ホリック
やっと諦めたのか芹がリビングに戻ってきて。



グイッと腕を引いて、膝の上に乗せた。



久しぶりに芹の顔をまじまじと見つめる。



髪の毛少し伸びたか?



化粧も、もう当たり前にしてんのな。



自分の見える範囲に芹がいないことに、今更不安と心配とが襲ってくる。



お願いだから、ほかの男になびくなよ·····。



「·····芹の顔になんかついてる?」

「ついてる」

「ちょ、取ってよ!」

「無理。その猫目もちいせぇ鼻も口も、芹に必要だかんな」

「そういう話?」

「もっと近く来て」



俺の視界を芹で埋めつくして。



腰に腕を回してグッと距離を縮めれば、芹の顔と数センチになって。



ほんのり頬を赤らめる芹が心底愛しいと思った。

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