溺愛ホリック
アイツ、なんで言うの!?



ていうか、覗いてない!



「ねぇ誤解!あたし覗きとかしないし」

「芹ならしかねないね」

「待って、お兄はあたしのことなんだと思ってんの!?」

「暁のストーカー?」



それ、逮捕レベルじゃん·····。



罰として、お兄の好きな卵焼きを奪ってやった。



悲しむお兄なんて見向きもせずに、あたしは黙々と朝食を食べて、身支度をして家を出た。



少しだけ暁に会うのが気まずいって思ってたのに。



ばったり暁と会ってしまって。



一瞬だけ目が合ってすぐに逸らされた。



まぁ、案の定ムッとするわけで。



「暁、おはよは!?」

「は?自分が先に言え」

「おはよ暁!言った!」

「ご苦労さん」



手をヒラヒラ振りながら先に行く暁。



うまく交わされたことくらいわかる。



まただ。



いつも暁の方が一枚上手で、あたしには悔しい気持ちだけが残る。

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