溺愛ホリック
やっちゃった、なんて後悔しても、時すでに遅すぎる。



全速力で学校まで駆け抜けて、教室に入って一息ついた。



収まらない心臓の音。



鼓動を感じながら、ふと自分の唇を触ってみる。



昔、本当に暁のことが大好きだったあの頃、またもや自分から暁にキスしたことがあった。



その時は所詮子供同士のキスだったから。



こんなに熱くて、こんなに溶けるようなキス、あたしは知らない。



あたし、すごいことした·····。



もう暁の目見れない!無理!



「どしたの?唇ばっか触って。荒れるよ?」

「わっ!な、なんにもないし!」

「なに?芹変」
 


あたしも自分自身がおかしくなってることくらいわかる。



こんなんじゃ、またキス1つでって子供扱いされちゃうよ·····。



今日は暁の家行けない。



紅タンにもしばらく会えない·····。
 


事の大きさにだんだんと気づいてきて、あたしは恥ずかしさで死にそうになり。



その日1日、あのキスの感触があたしをまとわりついて離れなかった。

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