溺愛ホリック
念のため測った体温も見事に平熱。



特にここにいる意味もなくなったし、保健室から出ようと思った時。



閉められたカーテンの向こうから声が聞こえて、ピタリと足を止めた。



「あら、小鳥遊さん起きたの?」

「話し声が聞こえて·····」

「耳障りだったわね、ごめんなさい」

「いえ·····。誰か、いるんですか?」

「お熱測りたいって来られた子よ。もう戻るみたい」

「そうですか·····」



ん?



タカナシさんって言った?



まさか!



バッと開け放ったカーテンの向こう。



やっぱり、さっきの子だ!



先生には何するの!って叱られたけど、そんなのお構いなしに僕は話し始める。



「探したんだよ!」

「えっ、先輩が私を?」

「好きじゃないって言われてかなり凹んだんだよね、僕」

「ごめん、なさい·····」

「僕、ウミちゃんになにかした?」

「それは·····、」



口ごもるウミちゃん。

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