溺愛ホリック
外もすっかり暗くなってきて、芹の帰宅時間が近づく。



そんな時、ふと聞こえた寝息。



いつの間にか俺の布団にくるまって夢の中の芹は完全に無防備·····。



背中まである茶髪の猫毛をサラリと撫でた。



寝顔は最高級の天使····。



起こすのもったいねぇけどこのまま寝かしとくのも·····。



葛藤の末、芹を抱きかかえて家まで送り届けた。



「あら、暁くん」

「芹寝たんで、部屋まで連れてきます」

「悪いわね〜。もう芹ったら、いつまでも暁くんに甘えるんだから」

「嬉しいです」

「これからも芹のことよろしくね」



はい、とペコり会釈して、家に上がった。



部屋まで芹をそのまま連れていき、ベッドに静かに下ろす。



起こさないようにしたつもりが、んん〜と伸びをして薄目を開けた芹の姿がもう猫のよう。



「起こした?」

「ん·····ここ·····」

「お前の部屋。んじゃ、俺行くから」

「えっ·····もう?」

「いや、帰る」



帰らないと、やばいって。

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