溺愛ホリック

潤美×千賀

《潤美》



好きな子にだけ優しくして、好きな子にだけ触れる。



これって普通のことだよね?



私の好きな人は、決してそうじゃない。



「あ、ウミちゃん〜」

「·····先輩、何してるんですか?」

「えっと〜、お話?」



女の子の手に触れてベタベタすることがお話ですか?



触れられてる、がこの場合正しいのだろうけど·····。



私以外の女の子に触れないで。



この前、思わず好きなんて口走っちゃって、なんだかいい雰囲気なんて思ってたのに。



私だけだったね。



だって、先輩からの『好き』の2文字は未だにもらえてないんだから。



いたたまれない気持ちになって、私はその場を去った。



なんか、目頭熱いっ·····。



グッと堪えていると、待って、って声に呼び止められる。



「ウミちゃん、待ってっ」

「い、やですっ。離してくださいっ」

「なに?どうしたの?」

「それはっ·····」

「言って?ウミちゃんの気持ち、知りたい」



ずるいよ、先輩。



そんな風に言われたら、言うしかないじゃないですか。

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