溺愛ホリック
雪降る聖なる夜に

柚子×豹

《柚子》



勇気がない。



豹くんが、いつでも来ていいよって渡してくれたこのスペアキー。



嬉しいよ、もちろん。



でもね、やっぱり自分からは行けない·····。



「いいじゃん。行ってきなよ」

「緊張する·····」

「小田桐もかなり待ってるんじゃない?」

「もらってかなり経ちます·····」

「お気の毒様〜」



環ちゃんは、付き合ってるんだしもう慣れなさいって言うんだけど、これがまた全然慣れてくれないんだよね·····。



豹くん、チキンな彼女でごめんね。



とはいえ、自分から行けないだけで、放課後は豹くんと一緒にマンションに向かう。



未だにドキドキするんだもん·····。



気軽に行ける場所ではないよ·····。



「水飲む?コーヒー?」

「あ、私するよ!」

「いいって。そこ座ってて」

「あ、はい·····」



では、コーヒーを·····と告げれば、納得してポットのお湯を温め始める豹くん。

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