先生は溺愛ダンナさま
「うんわかった、じゃあね理人さん。夜にまたテレビ通話するね」


泣く泣く彼に手を振る私。


「ああ、すみれ、そろそろ遅刻しそうでやばいからもう行くよ」


眉を下げてちょっと笑って手を振る旦那さま。


ああ、やっぱりカッコいい。せめて、この姿を脳内メモリに焼き付けておこう。


2日間もお別れするなんて、辛すぎる、寂しくて倒れそう。


彼の背中をどんよりした気持ちで見ていたら、急にくるりと踵を返して走って戻ってきてくれた。


「忘れ物」


言って、彼は私の頬にチュッと優しいキスを落としてくれた。


きゃっ、理人さんたらこんな道の真ん中で。


でもでも、凄く幸せ。


「じゃあ。いってきます」


「いってらっしゃい」


綺麗な笑顔を向けてくれた彼に、私もニッコリ微笑み返す。


頬に手をあてると、さっきの彼の唇のぬくもりがまだ残ってる。


走っていく彼の背中をぼんやり見ながら、ホウッてため息を何度も漏らした。


大好き、先生、大好き。

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