先生は溺愛ダンナさま
しばしの沈黙の後、口を開いたのは母だった。


「まあ、理人さん。ありがとう。ほんとにすみれみたいな娘をあなたの奥さんにするなんて恥ずかしいくらいよ。ほんとにこの子でいいの?」


「僕はすみれさんがいいんです。すみれさんはとても頑張りやでいつも感心してます」


「まあまあ、そんな」


娘を褒められて嬉しそうな母はニコニコ笑う。


母は、高校生の時から私が先生に片想いしていたのを知っているから、交際もわりとすんなり受け入れてくれた。


「母さん、いつまで理人くんを玄関に立たせておくつもりだ。早く上がってもらいなさい」


照れ隠しのように、ぶっきらぼうに言う父に、母もクスクス笑う。


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