先生は溺愛ダンナさま
彼は上半身だけ起き上がると、小さくため息をついて私を見る。とても切ない表情に気づいて、びっくりした。


「冗談でも、そんなこと言われるとこたえるな」


急いで、ベッドから降りて彼にしがみついた。


「ごめんなさい、嘘だよ。私が浮気なんてするわけないから」


「結構多いらしいよ。うちの学校は教師の残業時間が多いし休みだって少ないから、奥さんに逃げられてる人が」


「そんなっ」


「俺もそうなるのかな。すみれは、若くて可愛いからいくらでもやり直せるし」


「そんなこと、あるわけないのわかってるくせに」


さっきとは反対に、ひどく拗ねてみせる彼のトレーナーの背中をひっぱった。


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