先生は溺愛ダンナさま
教室の後ろの窓からこっそり中を覗くと、理人さんが教科書をすらすらと朗読している。


ああ、こうして見るとまるであの頃に戻ったみたい。


彼が教科書を読み上げるのを聞くのが大好きだった。優しいけれど強さを内に秘めた声を聞いていたら、どこからか力が湧いてくるような気がしたんだよ。


「野宮というのは、斎宮に選ばれた方が伊勢神宮に入る前に1年間、籠る場所で」


朗読が終わると板書しながら、解説をしていく理人さん。


黒板に向かってチョークで綺麗な文字を書いていく彼を見たらドキドキと胸が高鳴った。


普段の彼も好きだけど、やっぱり私は教壇に立つ彼が1番カッコいいと思う。


彼の広い背中に恋がれていたあの日の私を思い出していた。


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