先生は溺愛ダンナさま

「大切に育てられた箱入りお嬢様って感じ？」


そういう藤川さんは、チャラくて軽めのセクハラ男に見えますけどね。


「はあ、そうですかね」


「結婚してもダンナに甘やかされまくってそう」


「そんなことありませんよ」


ずばりその通りな気もするけど、いちいち彼の言い方が、神経にさわるので適当に返事をしょうと思った。


こういう人は本気で怒ったらこっちが損だ。ここ数週間で、ある程度藤川さんへのスルースキルを身に着けていた。


「桜木さんの旦那さんてあれでしょ？ハーフかクォーターみたいな顔した国語の先生だよね？」


「ハーフでもクォーターでもありませんけど、素敵な人です。どうして知ってるんですか？」


「だって、うちは女ばかりの職場だしイケメンの情報はすぐに伝わってくるよ。附属高校から進学してくる生徒さんの間でも有名だからね」