先生は溺愛ダンナさま
こんなところに、まさか彼がいるなんて思ってもみなくてすぐには気づかなかった。だけど、目の前にいるのは、理人さんだ。


「え?知り合い?っておーいどうした」


藤川さんの驚いたような声。


体が勝手に動かされるみたいに走り出していた。


「理人さん、理人さん、どうして?」


彼の背後からスーツをギュッと強く掴んで、大きな声で叫んでいた。


「え?すみれ」


「今日、宿直だって言ってたくせにどうして、女の人とこんなお店に来てるの?」


「ちょっと、落ちついて。すみれ」


「理人さんの嘘つきっ。ひどいよ」


スーツにシワができるくらい強く引っ張っていた。

多分、怒りの沸点が振り切れるくらいに私の理性は一瞬のうちに壊れていた。


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