先生は溺愛ダンナさま
「わ、わかったから。離せよ。ちょっと桜木さん、旦那さんを止めて、腕が折れるよ」


「理人さん、もういいから、離してあげて」


彼の腕にすがるように抱きついて、必死で懇願したらようやく手を離してくれた。


「理人さん、お願い」


彼はハッとしたように私を見て、はあっとため息を漏らした。ようやく、我にかえったようなそんな感じだった。


「こんな下衆な奴を庇うことないのに」


低い声で言う彼に睨まれた。だけど、誤解だけはされたくない。


「庇ってないよ。私のせいで理人さんに迷惑かけたくないだけだよ」


「ほんとに?」


「ほんとだよ」


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